子供の肥満を考える

 

最近の子供は、肥満の子供が非常に増えてきました。子供の肥満は、家庭の生活習慣、及び食習慣の影響を強く受けるため、親自身の管理が最大の原因と考えられます。また、健康面だけではなく、いじめや不登校など心の問題につながりやすいこともあり、精神面のストレスから過食になるなどの恐れもあるので、予防と対策は子供の将来のために大切なことです。

 

 

子供肥満の原因

≪食生活≫

食生活において、肥満の原因となりうる行動パターンを紹介します。これらの食生活がなぜいけないかを理解するようにしましょう。

◎間食、おやつでエネルギーを取り過ぎている場合

お菓子やスナックには砂糖や油が多く使われているものが多く、小さくても少なくても1回のエネルギー摂取量は多くなりがちです。小腹がすいたときに手軽だからとつい手を出すと、いつの間にかカロリーオーバーになっています。組み合わせ的にも、砂糖と油分の組み合わせが最も脂肪が付きやすくなります。

◎のどが渇いたときにジュース、牛乳、スポーツドリンクを飲む。

ジュースには糖分が多く含まれています。スポーツドリンクにも、ジュースほどではなくても糖分が含まれています。お水やお茶の代わりにガブガブ飲むと肥満の原因になります。また、牛乳は良質のたんぱく質として摂取するのは良いことなのですが、飲み過ぎればやはり太る原因になります。

◎味の濃いものが好き。

味付けの濃い食べ物が好きだったり、野菜好きでもマヨネーズやドレッシングを大量にかければ油分や塩分の取りすぎになります。ファーストフードやレストランなど外食も、全体的に味付けが濃いので、回数が多いと油分や塩分の取りすぎになります。

◎大食い、早食い、ストレス食い、ながら食い

どのくらいの量を食べたかわからないような食べ方は、肥満の原因になります。食べた量がわからないと、おのずと食べ過ぎになることが多いからです。「大食い」か「そんなに食べていない」かという基準に関しても、『誰から見てそんなに食べていない』のかが重要な場合があります。家族や周りに太った人が多い子供の場合、周りがよく食べるので、それに比べたら自分はそんなに食べないと思っていることがあります。しかし、肥満になっているようでしたら、それは明らかに摂取カロリーがオーバーしているのです。

また、「早く食べなさい」「残さないで食べなさい」と、親が急かしたり強要しすぎるのも食べ過ぎの原因になることがあります。

◎寝る前の夜食、朝食抜き、一度に食べ過ぎなど、食生活の乱れ

寝る2時間前以降でも食べていたり、朝食を抜いてその反動でたくさん食べたり、食事が不規則になるのも肥満の原因です。夜寝る前に食事を取るとエネルギーを消費しきれずに寝てしまい、そのまま蓄積されます。また、空腹から一気に食事を取ると栄養の吸収率が高くなり、ダイエットには向きません。

◎親以外の人が食事の世話をすることが多い

おじいちゃんおばあちゃんなど、親以外の人が食事やおやつの世話をすると、「いっぱい食べなさい」「食べさせないとかわいそう」「好きなものを食べなさい」と、過剰に食事を与えてしまうことがあります。親がダイエットを心がけた食事にしていても、知らないところで子供に好きなものを与えている可能性もあります。

 

≪運動不足≫

子供が肥満になると運動が苦手になり、さらに運動をしなくなり、もっと太る・・・というような悪循環に陥ります。食生活以上に、現代の子供たちにとって運動不足は問題になっています。運動不足に陥るパターンを見てみましょう。

◎学校が終わると、塾や習い事が多い。

中には週に3~4日は塾通い、それ以外は家では寝るだけ、ぼーっとしているという子供もいるようです。根本的に遊んだり体を動かしたりする時間がないパターンです。

◎遊びはテレビゲームなどが中心。

一人でも、友達と集まっても、テレビゲームで遊ぶというパターンです。好きな子は1日に3~4時間はやるようです。仲間うちで流行っていると、自分だけ抜けたり他の提案がしづらいという面もあるようです。

◎運動は学校の体育の時間だけ。

学校の休み時間も教室で過ごし、外で遊ばないというパターンです。苦手意識からか、肥満の子は学校のクラブ活動などでも運動系のクラブには所属しない傾向が多いようです。

◎塾通いや休日の移動は車を利用することが多い。

塾通いは距離的な問題や時間的な問題もあり、親が介入せざるを得ない場合もあります。休日の過ごし方も含め、親側の事情が大きく関わります。

◎自由に遊べる場所がない。

周囲に広場や公園がない、規制が厳しい、環境が良くないなど、子供にとって運動不足にならざるを得ない環境の場合もあります。

◎家の手伝いをほとんどしない。

激しい運動でなくても、家の手伝いをすることで、ある程度のエネルギーの消費になります。しかし、現代の子供は親が過保護な傾向があるせいか、親に手伝いを強要されることが少なく、積極的に家のことに関わる機会があまりないようです。

◎親が外遊びに誘わない。

運動が苦手な子の親も、たいていは運動が苦手な傾向にあります。親が苦手なのに子供にだけ「動きなさい、外で遊びなさい」といっても、子供も運動好きにはなれません。

 

≪生活習慣≫

現代の生活スタイルが運動不足、やがては肥満につながっているという面と、家庭環境など複雑な事情が肥満の原因となることがあります。

◎不規則な生活

起きるのが遅い、寝るのが遅い、食事の時間が不規則、乳幼児の場合は昼寝の取りかたも不十分など、体内時計がしっかりと機能せず、代謝が落ちたり食事のとり方が悪くなったりすることが肥満の原因になります。

◎都市型生活習慣

塾通い、近くに遊べる場所がない、テレビゲーム中心の遊び、家の手伝いをしないなど、都市型生活ならではの体を動かさなくてもできる生活習慣が肥満の原因に結びついています。子供が自分でその生活を選択するだけでなく、競争が過熱していたり、友達の輪からはずれられなかったり、親の期待など、周囲の環境にも問題がある場合もあります。

また、住環境が悪化していたり、事件が発生したりなど、子供を自由に遊ばせられない都市部の事情もあります。

◎郊外型生活習慣

郊外の生活では、車での移動が中心となり、学校の行き帰り以外はほとんどあるかない、休日も歩かないという生活パターンに陥りがちです。

◎家庭環境

親や家族が太っていると、子供も肥満になりやすいことは説明しました。その場合、親が太る生活をしていて、子供も同じ常態になっているケースが多いのです。こういう場合、親に問題意識がないと、子供が肥満体であることも問題にならないので、肥満の発見や解消につながりにくくなります。

◎家庭の事情

例えば、家族(特に母親)が忙しいと、出前やでき和えのもの、外食が多くなり肥満につながる場合が多いです。また、母親が不在にしがちでひとりで食事をする回数が多く、寂しさからくるストレスが食欲に走らせるという例もあります。いじめや孤独感などが食欲につながるケースもあります。子供の場合、寂しさが食欲につながるケースが多いようです。

 

≪睡眠不足≫

実は睡眠不足も肥満の原因につながります。そして、最近は睡眠不足の子供が増えているという調査結果があります。これも肥満が増加している理由の一つと考えられます。

学童期に朝寝坊の習慣がついてしまうと、起きてすぐ食べられなかったり時間がないなどで朝食を抜くことが多くなり、食生活のバランスやリズムが崩れてしまいます。欠食や間食が増えると、肥満の原因につながります。

また、睡眠不足は代謝ホルモンのバランスを崩し、偏食がちになったり、疲れやすくなり運動不足を招き、肥満につながります。子供の睡眠不足は成長ホルモンの分泌にも影響を及ぼし、身長の伸びが悪くなったり、メラトニンと呼ばれる抗酸化作用や老化防止、抗がん作用があるホルモンの分泌が阻害されます。健康な体を作るには、夜しっかり寝て朝に光を浴びる、正しい生活リズムを毎日続けることが大切なのです。

 

子供肥満を解消

≪食事≫

食事の内容を改善するポイントを紹介します。これらの項目を常に意識しながら、メニュー選びや食事のとり方を決めていきましょう。

 

・ジュースなどの取り方を見直します。ジュースや牛乳をお茶や水に替えてみるだけで摂取カロリーが減ります。

・糖分の取りすぎを防ぎましょう。摂取を一番控えなければいけない栄養素です。

・油分の取りすぎを防ぎましょう。脂肪は糖質の2倍相当のカロリーがありますが、成長に必要な栄養素でもあるため、年齢に応じ極端に不足しないように調整します。 

・早食いはせず、よく噛んで食べるよう心がけましょう。

・調理方法を見直しましょう。揚げるより焼く、炒めるより煮るほうが脂肪を抑えることができます。また、テフロン加工のフライパンを使ったり、揚げ物の衣は薄くつけるなどの工夫も良いでしょう。

・食材の選び方を工夫しましょう。ハムはボンレスハムやショルダーベーコンなどの脂肪分が少ないもの、あじ・かじきまぐろ・かれい・たらなどの脂肪が少ない魚を選びましょう。

・きのこ・海藻・こんにゃくなどの低カロリーやノンカロリーのものでボリュームを出しましょう。

・にんじんやごぼうなど、歯ごたえのある食材は大きめに切って噛み応えのあるようにしましょう。

・炭水化物ばかりに偏らないよう、様々な食材を食べ、バランスの良い食事をしましょう。

≪運動≫

運動不足を解消するためのポイントを紹介します。なお、肥満の子供は常に重い体重を支えなくてはならないため、背柱、腰、脚などの関節への負担が大きくなります。無理のないよう進めていきましょう。

 

・家の手伝いをすること、外で遊ぶこと、車を使わず公共の交通機関を使うこと、階段を使うことなど、日常生活の中で体を動かす時間を増やすよう心がけましょう。

・楽しく体を動かすことから始めましょう。まずは体を使う「遊び」から。

・親が外遊びに誘うようにしましょう。

・ゆっくりとした運動を15分以上続けて行いましょう。

・いきなりスポーツクラブに通わせない。いきなり技術を身に つけたり、競争する環境に入れないようにしましょう。

・肥満児向けの集団運動教室などを見つけて通いましょう。

・水泳は心臓や膝、腰などに負担がかかりにくく、太っている 子供に適している。

・体力がついてきたら、野球やサッカーなど集団で行う運動は孤独になりにくいので有効。

・短距離ダッシュ、エアロビクスなどは動きが激しく負担になりやすいので、肥満の子供には向かない。

・柔道など筋力を使う運動は、比較的肥満の子供でも得意。

 

≪生活習慣≫

 食事内容や運動だけでなく、生活習慣を見直すことも大切です。遅く起きる・欠食・食事の時間がバラバラ・夜更かしなどの不規則な生活、外食が多い、遊びの大半がゲームやコンピューターなどで体をあまり使わないなど、悪い習慣がついてしまっている場合は、まずは生活リズムを整え、悪い習慣を見直し、規則正しい生活を送りましょう。

 

【参考】 http://sutekina-jweb.jp/kodomo-himan/ http://www.takaa.jp/

 

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